株式会社ヘアーズギャラリー/Hairs Gallery 経営者インタビュー

株式会社ヘアーズギャラリー/Hairs Gallery 経営者インタビュー

技術力の高い美容師に全員育てる教育

全員育てる教育
美容室の財産は「人」です。場所や、内装や、規模ではありません。どんな人が働いているかが、美容室の全てだと思いますので、その為の教育には時間も費用もかけています。ただ、時間に関しては考え方が変わりました。5 年位前までは、練習の量を重視していましたので、遅い時間まで練習する事がありました。その為、辞めてしまうスタッフも多かったのですが、それ以上に応募者が多かったので、そのやり方を続けていました。長時間の厳しい練習の結果、付いて来れたスタッフだけを育てていけば良いという考え方でした。( 今では考えられませんが)しかし、少子化や美容師のなり手が減少する状況で、このやり方を続けていてはいけない、と考える様になりました。そして、1 人の離脱者も作らない「全員を育てる教育」に改革しました。

時短で効率的な練習方法
まず、練習時間の短縮に取り組みました。夜の練習は原則廃止し、朝に練習時間を取る様にしました。そして状況にもよりますが早い日は7時過ぎには退勤できる様にしました。するとスタッフのご家族の方からも「早く帰る事ができて良いお店だね! 」と言われる様になりました。夏ですと明るい時間に帰れますので、スタッフも大喜びです。時間を短くした結果スタッフの離職が減りました。やはり時間が大事なんだという事に気付かされました。そして時間を短縮しても技術力が低下しない様、練習のやり方も効率的に改革しました。例えば営業時間中にモデルさんを連れてきての練習がありますが、1 人のモデルさんで、それぞれのキャリアのスタッフが、カット、シャンプー、ブローなどの練習をします。1 人のモデルさんで、3人以上のスタッフがそれぞれの技術を練習するイメージです。モデルさんを連れて来ないと叱られる美容室もある様ですが、ヘアーズギャラリーでは連れて来れないなら、先輩が連れてきて、そのモデルさんで皆が練習すればいい、という考え方です。私も、先月スタイリストデビューまであと少しというスタッフの為に、行きつけのイタリアンレストランで働く女性達数名をモデルさんとして連れてきました( 笑)。その様な形で、スタッフの練習や成長を皆で応援する社風ができています。

技術スキルを上げる充実した講習
ヘアーズギャラリーの強みは「技術力」と「デザイン力」。これには揺るぎない信念を持っています。その中でもカット技術に特にこだわっています。カット技術は1年目からハサミを持ちスタイリストデビューするまでの2年6ヶ月間みっちり指導します。ヘアーズギャラリーではスタイリストデビューしたばかりのスタッフでもカット料金は6600円頂いています。カット料金の全国平均が3 6 0 0 円と言われますので( 総務省発表の「小売物価統計調査」を元に算出された金額です)平均より少し多く頂いています。その為、値段に見合うしっかりとした技術を身につける事は必然です。客単価と言いますが、美容室で1 人のお客様がお支払い頂く金額の平均が2万円近くの時もある為短時間の労働時間でも高収入を得る事が可能です。また、高い技術を取得する為にトップレベルの技術を持つ自社スタッフが定期的に指導をしています。外部講師を招いての講習も充実して技術向上の為に日々研鑽しています。

技術にこだわる理由
なぜ、ここまで技術にこだわるのか。それはお客様に最高のご満足をご提供させて頂く事はもちろんですが、美容師免許を取得し、最初に学ぶ技術でその人の美容師としての土台が作られ将来が決まるからです。美容学生の皆さんにも是非、覚えていて欲しいのですが、最初に学ぶ技術が本当に大事です。変な癖が付いてしまうと、あとで直すのが大変です。サロン選びに是非、しっかりとした技術が学べるか、という点も基準にされると生涯美容師として活躍できると思います。

コロナでより強くなったお客様への感謝
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コロナウイルス感染拡大は本当に大きな出来事でした。ヘアーズギャラリーはありがたい事に大変忙しいお店で毎日朝から晩までぎっしり予約が入っている事が当たり前でした。しかし、緊急事態宣言が発令され人々が外出自粛を行う様になるとお客様の数が激減しお客様が来る事が当たり前でない、という事に気付かされました。お客様の層で若者が多いお店はそれ程では無かったのですが、セレブ層中心のお店では、コロナの感染者が増えると足が遠のき、感染者が減ると足を運んで下さるという状況が顕著に見えました。コロナのお陰ではないですが、改めて来店して頂けるのは当たり前ではなく、ありがたい事だと、お客様への感謝の気持ちがより強くなりました。普段では取れない時間ができた為新メニューや新技術の開発や新たな設備投資ができ、コロナも自社にとってプラスに転換できました。

スタッフの幸せを最優先に考える未来
ヘアーズギャラリーは創業して28年になりますが、その間本当に色々な事がありました。成長期ではお客様がお店の外に行列する時もありました。また、時代は分業制だという事で、美容師がカット技術に集中できる様、シャンプーは全店舗オートシャンプーを導入し、カラーはカラーリストを育成するという形を取った時がありました。しかし、ある時、カラーリストのスタッフから「今のままでは私たちはお店を出す事ができません今の日本ではカラー技術だけでは独立出来ない」と言われ分業制をやめて1人のスタッフが全ての技術を身に付ける今のやり方になりました。平成から令和へと時代が流れ、コロナにより時代は大きく変化しています。これからは外に向かってエネルギーを使うよりは、内部充実に努めたいと思います。スタッフたちの美容師人生をより豊かにする事を優先的に考え、教育を充実し、短い労働時間で高い収入を得られる様に取り組んで行きたいと思います。

株式会社ヘアーズギャラリー
取締役副社長 鈴木 一彦Suzuki Kazuhiko

大阪府出身。高津理容美容専門学校卒業。1993年平野満・中塚一幸と3 名でヘアーズギャラリーを創業。美容師・エステティシャン・アイリストによるサロンワークは勿論、国内外でのヘアショー参加や数多くのティーチインや撮影活動、またコンテスト活動なども積極的に行っています。デザインにこだわり、その為の技術やトレンドの勉強に力を入れています。座右の銘は「最大の教育は社風にある」